田島(TAJIMA、東京)
 
 昭和30年代、東京都品川区大崎には田島製作所という鍛冶屋があった。ここを興したのはシェルパ(SHRPA)をブランドとした上山運動具店専属の田島という鍛冶職人であった。彼は社長の西上常吉と意見が合わず、1953(昭和28)年頃独立したらしい。
 左に示す広告は1960(昭和35)年の岳人11月号に掲載されたものである。これによればピッケルの他にアイゼンも製作していたようだ。しかしこれ以上の資料はなく、製作していた年数や総製作本数など詳しいことは分かっていない。



TOP-SNOWMAN 東京 田島作
 これは不思議なピッケルである。特徴的なのはブレードが極めて小さくできている点だ。またモデル名のTOP-SNOWMANも東京トップが販売していたSNOWMANと紛らわしい。このピッケルの製作の由来を詳しく知りたいものである。
 ヘッド長30cm、全長85cm、重量900g。フィンガーは157mmで3点留めされ、ハーネスはピック側からネジ留めされている。
 ピック側のフィンガーに記されている「東京 田島作」の銘は、山内のように一文字ずつ手で刻んだものではなく、刻印を作って打刻していたようだ。