ホレショフスキー(HORESCHOWSKY)
 太平洋戦争前に日本にプリマという銘のスイス製ピッケルが輸入された。プリマはフリッチやビョルンスタットと同様にそれを取り扱った販売店の銘であると考えられる。所在地は分かっていない(バーゼルのL.KOST社か?)。プリマのピッケルはフプアウフ(HUPFAUF)等の鍛冶屋が供給していたようだ。
 PRIMAとは英語のprime(プライム)と同じで主席、最良、極上などの意味がある。PRIMAの刻印の下には数字が打たれていて製造番号を表していると思われる。




HORESCHOWSKY WIEN [鹿東京都在住N氏所蔵]
 ホレショフスキー(Horeschowsky)はオーストリアの登山家であった。1923年にマッターホルン北壁の下部を登攀したことで知られている。このピッケルはそのホレショフスキーがウィーンに開いた登山用具店で販売していた物であろう。1020年代から30年代の物と考えられる。ヘッド長31.5p、全長は95pであり、ピック、ブレード共に直線的な形状をしている。古いヘッド形状のピッケルであり、1900年代から1920年代の頃の物と考えられる。ヘッド長28.5p、全長87.5p、重量は重く1230gある。石突きはハーネスとシュピッツェが、ろう付けされているワンピース型である。
 花を冠したプリマ(PRIMAの刻印の左には、ドイツ・フランス国境に近い町バーゼル(Basel)のスポーツ用品店L.KOST社(Leonhard Kost & Co,)の刻印が打たれている。つまりこのピッケルはL.KOST社を経由して販売された物である。
 ヘッドの下側には、A及び3 1/2(3.5)と刻印されている。Aはモデルを、続く数字はヘッド長を表すコードだと考えられる(数字が大きくなるほどヘッド長が短い)。