オプティマス(Optimus,Sweden,1899-)


No.00L
No.8R
No.45(L)
No.96L
No.123R
No.323

 Optimus A.B.(オプティマス株式会社)は、スウェーデンに本社のある金属製品メーカで、1899年(明治32年)にカール・ボーズ(Carl Böös)、カール・ナイグリック(Carl Neiglick)、ペーター・オストベルク(Peter Östberg)という3人の技術者によって創設された。初めはストックホルムに本社と工場があったが次第に手狭になり、工場は1908年にストックホルムの北25qのアップランズ・バスビー(Upplands Väsby)に移転した。その後1919年には本社もストックホルムからここに移転した。

 時代は下って1960年代に入るとOptimus社はスウェーデン国内にある競合他社の灯油・ガソリンストーブ部門を吸収していった。そこに至るまでに競合する他社はLPガスを燃料とする製品を主流にする方向に向かっていた。つまりPrimusブランドのB.A. Hjorth社及びSveaブランドのMax Sievert社がそれであった。Optimus社はLPガスは手掛けずに液体燃料のストーブを主力とする方針を採った。そして1962年にPrimus、1963年にRadius、1966年にはSveaの灯油・ガソリン部門を吸収した。すなわちPrimus、RadiusそしてSveaの灯油・ガソリンストーブの製造・販売権をOptimus社が持つことになった(ただしRadiusの商標は使われなかった)。こうして1960年代からはOptimus、Primus、Sveaの3ブランドのストーブがOptimus社から出荷されていった。ただしPrimusとSveaの灯油・ガソリン製品は、ほとんどが1970年代に生産を終了したらしい。
 Optimusブランドの灯油ストーブは、その後LPガス製品に押されながらも生産を続けたが1996年(平成8年)、最後まで残った00Lと45Lの生産を終了した。ただしガソリンを燃料とする8R、123Rなどは現在も生産されている。

 Optimusの型番に付いているサフィックスには意味があり、Lはブリキ製収納缶付きで販売したモデルであり、収納缶の付かないモデルはサフィックスなし、またはKのサフィックスを付けていたようだ。またRはノズル掃除機構を追加したり、45Rのように火力調整機構を追加したりと改良版を表しているようだ。
 Optimusはラテン語であり「最適な」という意味の単語である。英語ではoptimumが同じ意味の単語にあたる。

 Optimus社の製品は戦前は日本には輸出されていなかったらしい。下に示すのは1971年(昭和46年)の雑誌広告であるがここには「オプティマス(旧名ラジウス)」と記載されていて日本ではRadiusの方が知名度が高かったことを表している。Optimus社のストーブの輸入はこの頃から始まったと考えられる。


山と渓谷社刊「岩と雪」No.20(1971年春号)から