タカユキ(TAKAYUKI)

 第2次RCCの大江幸雄を中心とした登山用具研究会はモデルRCCピッケル発表と同じ頃、アイゼンも発表した。製作したのはピッケルと同じく東京都目黒区自由が丘で鍛冶屋を営んでいた田中隆行である。
 モデルRCCアイゼンはニッケル・クロム鋼をエアーハンマーで板状に引き延ばし、それを切り抜いて作るいわゆる「切り抜き型」である(プレス型ではない)。販売は奥山章が経営していた登山用具店「梓」で行っていたようだ。
 このアイゼンもモデルRCCピッケルと同様に田中隆行が家を出てしまったために彼が作っていた時期は極めて短い。このアイゼンはその後エバニューに生産移管された。(敬称略)


モデルRCC(10本爪) [東京都清瀬市、西本武志氏所蔵]
 前爪がやや前に出た10本爪アイゼンである。軽量化(片足440g)のためになるべく鋼材を薄くし、不足する強度を確保するために爪はV字型に絞り込まれている。アイゼンバンドの固定は装着時間を短くする目的で爪先と中間は引っかけ式になっている。ジョイントは前後2個所がフリー構造になっているがこれは評判が悪く、すぐに一般的な1個所フリー構造に変化した。
 モデルRCCアイゼンはこの他に12本爪があった。これは前足部を反転できる構造になっていて反転するとフロントスパイクが出ない10本爪様に変化できたらしい。





 前足前部の銘


 前足後部の銘


 後足後部の銘